2013年5月19日日曜日

地域コミュニティ条項の削除

組合員の、組合員による、組合員のための管理組合運営

管理組合と自治会は別ですよ
地域コミュニティ条項の削除


管理組合を運営する憲法である「区分所有等に関する法律」
(以下「法」と略)は国土交通省(以下「国交省」)の所掌です。
「法」の条文は、全72条からなり、その内容は「民法」の理解の
主要な条文の理解がないと「適切な組合運営」は行えません。
特に民法の「行為能力・法律行為(権利能力なき社団=非法人の管理組合)」、
「物権のなかの所有権(区分所有権者=組合員)
占有(占有者=非組合員である賃借人)」、
「債権・委任(役員は組合員からの委任包括委任・特別委任
・受任者の義務=善管注意義務・忠実義務)」、
「債権・管理費の支払い義務=債務不履行(不法行為)」等は、
絶対に知識を必要とする条項です。
そのような専門的知識は、高度な専門的職業の人でないと理解は網羅できません。
ところが、実際は「無知な長老意識だけの人により組合運営」
が為されているのが実情です。「法」を知らない人が管理組合「規約」を作ると、
まるで我田引水の「法」を無視したものとなります。

そこで、「国交省」は、管理組合が適切な組合運営を行うためのガイドライン
マンション標準管理規約及び同コメント」(最終改正平成23年7月27
日国土動指第3号、国住マ第18号)を作成しています。
詳しくは、以下のサイトでご覧下さい。http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansei/manseikanri.htm 
団地の場合は、標準管理規約及び同コメント(団地型) をご覧ください。

昨年平成24(2012)年8月までに計9回標準管理規約
の整備等の「マンションの新たな管理ルールに関する」
検討委員会が開催されました。

第9回検討委員会 平成24年8月29日(水)に中央合同庁舎3号館8階国際会議室
当日配付 資料5 に「残る論点と新たな論点について」との中に、
本ブログの主要テーマである「管理組合と自治会の峻別」
に関した「論点」が検討されています。
の字(朱太字も含む)の部分は、上記サイトからの引用です。
1 「管理」の範囲、定義の再確認
-1 マンションの「管理」とは何か、その定義の再確認する必要がある。
-2 本検討会のメインテーマとなっている、「適正な管理」とは何か、
  その定義や解
  説等を、標準管理規約、同規約のコメント(解説のこと。以下、コメントという。)
  適正化指針(以下、指針という。)で、それぞれに、どのように記載するのがよ
  いか、検討してはどうか。
-3 「管理組合」の役割について、区分所有者によって構成される「居住用資産の
  管理団体」であると、規約又はコメント、指針等で整理してはどうか。
2 管理組合と自治会の関係整理 として、地域コミュニティにも配慮した居住者間の
  コミュニティ形成の条項についての取扱いについて
  マンションにおける良好なコミュニティの形成は、円滑な合意形成の促進、
  資産価値の維持・向上、流通の促進等に一定の効果があるが、
  現行の標準管理規約
  は、「地域コミュニティ」、「居住者間のコミュニティ」の定義が曖昧で、
  どこまでマンション管理と関係があるのか、自治会の業務ではないか等が、
  同規約のコメント(次頁)でも必ずしも明らかではなく、
  様々な誤解、トラブルを招くおそれがある。
  
標準管理規約 第27条十項が問題の条項です。(管理者の注書き)

第27条(管理費) 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充
          当する。
一 管理員人件費
二 公租公課
三 共用設備の保守維持費及び運転費
四 備品費、通信費その他の事務費
五 共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料
六 経常的な補修費
七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
八 委託業務費
九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用
 この条項が独り歩きし、管理組合と自治会の峻別がなくなっている大きな
 理由です。 (管理者の注書き)
十一 管理組合の運営に要する費用
十二 その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用
  
   標準管理規約 第32条(業務) 十五項 地域コミュニティにも配慮した居住者間の
  コミュニティ形成 とする類似条項が存在しています。
    コミュニティ形成の条項には、以下のコメントが付いているが、
  当管理組合は 「自治会費を徴収せず管理費で賄われている。」
  峻別する能力がないのか悪意で自治会活動費として全額、
  それも予算の倍以上の金額が機関決定することなく、
    理事長・副理事長等一部の役員の独断で不正に支出されています。

標準管理規約のコメント(第27条の解説)
コミュニティ形成は、日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事等の円滑な
実施などに 資するものであり、マンションの適正管理を主体的に実施する管理組
合にとって必要な業務である。
管理費からの支出が認められるのは、管理組合が居住者間のコミュニティ形成の
ために実施する催事の開催費用等居住者間のコミュニティ形成や、管理組合役
員が地域の町内会に出席する際に支出する経費等の地域コミュニティにも配慮
した管理組合活動である。
他方、各居住者が各自の判断で自治会、町内会等に加入する場合に支払うこと
となる自治会費、町内会費等は地域コミュニティの維持・育成のため居住者が任
意に負担するものであり、マンションという共有財産を維持・管理していくための費
用である管理費等とは別のものである。
さらに、「マンション標準管理規約の解説:大成出版社」を引用して
マンションを含む地域のまちづくり、環境保全、防犯、自然災害への対応等地域
全体としての取り組みが求められるといった場合に、地域組織、住民と一体として
対応するためには、日頃からの地域とのコミュニケーションが重要である。本号
は、こういった視点に立脚してあらたに規定されたものであり、このようなコミュニ
ティの醸成に必要な経費を管理費の一部として支弁できることとしたものである。
支弁の具体的な方途については、各管理組合においては、必要性に応じ管理組
合での合意のもと適宜対応できるものと考えられている。なお、この経費が、管理
費から充当されるものであることから、おのずとその使途に限界があることは自明
であり、マンションの維持・管理のため以外に支弁されることがないよう留意する
必要がある。

   地域コミュニティ条項」の問題として、判例を挙げ、以下にコメントしています。
地域コミュニティに配慮した居住者間のコミュニティ形成について(4
以上のように、規約、コメント(解説)でも定義が曖昧で、具体的な例示も少ないた
め、例えば、「各自の判断で加入した場合に支払う自治会費が管理組合の管理
費から支払われている」等のトラブル、訴訟が発生し、判決も出ている。
問題認識
退会申入れで自治会費の支払義務を負わない例
<最高裁判例(平成17年4月26日(判時189710頁)>
自治会は(略)権利能力のない社団であり、いわゆる強制加入団体でもなく、その
規約において会員の退会を制限する規定を設けていないのであるから、被上告
人の会員は、いつでも被上告人に対する一方的意思表示により被上告人を退会
することができると解するのが相当であり、本件退会の申入れは有効であるとい
うべきである」とし、自治会を退会する旨申し入れた場合、その後の自治会費の支
払い義務は負わない旨判示。
町内会費の徴収は管理組合の目的外とした例
<東京簡易裁判決(平成1987日(判例集未掲載)>
「マンション管理組合は、区分所有の対象となる建物並びにその敷地及び付属施
設の管理を行うために設置されるのであるから、同組合における多数決による決
議は、その目的内の事項に限って、その効力を認めることができるものと解すべき
である。しかし、町内会費の徴収は、共有財産の管理に関する事項ではなく、区
分所有法第3条の目的外の事項であるから、マンション管理組合において多数決
で決定したり、規約等で定めても、その拘束力はないものと解すべきである。本件
では、原告の規約や議事録によると、管理組合費は月額500円とっており、親和
会当時からの経緯によると、そのうちの100円は実質的に町内会費相当分として
の徴収の趣旨であり、この町内会費相当分の徴収をマンション管理組合の規約
等で定めてもその拘束力はないものと解される」

  さらに、誤解を招きやすい「地域コミュニティ条項について」以下のような積極的
  削除を提案しています。
地域コミュニティに配慮した居住者間のコミュニティ形成について(5)として
方向性(標準管理規約の取り扱い)
地域コミュニティに配慮した居住者間のコミュニティ形成の条項の取り扱いにつ
いては、明確な定義や管理との線引きが難しいことから、現行の文言のままの
標準管理規約や同規約のコメント(解説)は削除する方向としてはどうか。
2 標準管理規約第27条については、限定列挙ではなく、管理組合の業務を定め
た第32条に掲げる 業務のうち、(修繕積立金からの充当でなく)管理費からの
充当がふさわしい業務に、これ(管理費)を充てるという包括的な規定ぶりにす
ることも検討してはどうか。併せて、規約32条第17号の 「良好な住環境確保」
も、資産価値向上に結びつく内容に限ることを明確にすべきではないか。
方向性(自治会費等の徴収の改善)
1 判例のようなトラブル、訴訟が繰り返されないよう、個々のマンションの事情も
踏まえながら、徴 収方法の改善を検討することとしてはどうか。
2 具体的には、①自治会、町内会等への加入の意思確認に努め、トラブルの未
然防止を図る(町内間への加入は任意である旨を伝える)とともに、②管理費と
自治会費・町内会費の会計区分に努め、不明朗会計となることを防止すること
を検討してはどうか。また、③管理費と一緒に徴収することが合理的な場合に
は、当該マンション内での管理費徴収と自治会費徴収の業務の受委託関係や
費用負担に ついて妥当なルールを整備してはどうか。※自治会に属している
者から自治会費を徴収するため、管理組合による代行徴収をする場合は、同じ
マンション内の自治会から徴収に係る実費を賄い、会計担当を分離してはどう
か。

     本ブログ管理者の結論は、
国土交通省の標準管理規約(団地型)の「地域コミュニティ条項」の削除です。
何故ならば、管理組合の目的、「法」第3条は全員で、建物並びにその敷地及
び付属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めることにより、
集会を開き、規約を定め、及び管理者を置く事ができる。」と宣言していることを
守らなければならないからです。
管理組合の円滑な運営の一対策として挙げられているにすぎない「地域コミュ
ニティ条項」が主役として独り歩きすると、「財産管理団体が地域の人の管理団
体と誤解しね運営が行われ、スムースな運営の一手段にしか過ぎない地域コミ
ュニティという庇を貸して管理団体である母屋を取られる結果となるから」早急
な管理組合と自治会の峻別を図るため「地域コミュニティ条項」の削除を図るべ
きなのです。
国土交通省の検討会の内容「地域コミュニティ条項」の削除提案が発表されて
以来、NPO及び管理団体連合会は、「反対」の意を盛んに発表しています。
似て非なる「管理組合と自治会」の法的な峻別、管理組合は「法」により成立
し、滞納管理費等の組合員は区分所有権の「競売の請求」という強制もみとめ
られている財産管理団体なのです。自治会は、入退会は個人の自由であり、入
会の意思表示がなければ自治会員でなく退会も自由なのです。自治会員は、
特定の地域に住む世帯単位の人なのです。自治会の運営費は、自治会員が
個々に負担するものなのです。自治会費の集金が困難だから、「自治会費を徴
収せず管理費で賄う」など言語道断全くの違法なのです。
峻別の無さの根拠、管理組合の総会の多数決で決議すれば何でも可とする、
歪んだ「法」の理解、指導者は何をやっても許されるとする思い上がりなので
す。
社会学的にも、大政翼賛会的「隣保・部落」の長老支配意識が、根の深い事を
示し、「日本人の法意識のなさ」と揶揄されている要因がここにもあります。
特に、当団地のように、一戸の専有部面積46平米程度の団地は、高度成長時
の地方からの大量な労働力の受け入れ策として安価に分譲している場合は、
その組合員の地域レベルからかその傾向が顕著に顕れているのでしょう。
以上

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